「IT革命」ということばが、新聞やテレビ等で華々しく取り上げられています。しかし、少なくとも現時点では、どちらかというと制度やインフラの整備に関する論議が多く、「モノづくり」の現場で働く人々は、相変わらず革命とはほど遠い“現実的な”作業に日々追われています。しかし、わが国の製造業が、これからも勝ち続けていくためには、それら現実的な作業の背後に潜んでいる高度なノウハウや管理技術を、いかにIT化していくかにかかっているのです。電子商取引(eコマース)やサプライチェーンマネジメントといった時代の流れの中で、欧米流のグローバルスタンダードの波に飲み込まれることなく、わが国の製造業の技術や文化のよい部分を生かした形でこれからのIT社会を生き抜いていく方法を早急に考える必要があります。そして、そのためには、製造業だけではなく、IT企業や大学等研究機関も互いに協力しあい、国際社会へ向けて情報発信していくことが極めて重要です。  
製造業におけるさまざまな生産プロセスや業務プロセスを、生産計画とスケジューリング技術を中核としてモデル化し全体最適を行おうという試みとして、APS(Advanced Planning and Scheduling)が注目されています。これは、MRPを中心とした従来型の“固い”生産管理システムが、現在の製造業が置かれている環境にはもうこれ以上対応しきれないという現実から出発し、製造業の新たなグランドデザインの中で「モノづくり」とITとの関係を再構築するための極めて重要な技術です。APSは現在、企業の内部の問題だけではなく、企業間のビジネスプロセスの最適化をも実現させる可能性をもっており、インターネット技術との併用により、これからの製造業の革新的なIT(情報技術)となると期待されています。
本コンソーシアムは、このような背景のもと、ITソリューションを提供するIT企業と、その利用者であり同時にノウハウの知識ベースでもある製造業と、そして大学等の研究機関とが連携し、「インターネット技術とAPS技術の融合ならびに発展」をキーワードとして活動を行う非営利団体(NPO)です。本コンソーシアムの目的は、特にAPSという新しい技術を、日本の製造業の持ち味を最大限に取り込む形で世界に先がけて完成させ、グランドデザイン、オブジェクトモデリング、そして具体的な記述言語の標準化活動を通して、インターネット社会における次世代のデファクトスタンダードを確立させることにあります。そのために、企業間の対立した利害関係を乗り越え、オープンでかつ活力ある議論の中で、Win−Win関係を実現できるような共通規約やインタフェース仕様を策定していきます。
具体的には、以下にあげるようなさまざまな活動を通して、わが国における「インターネットとAPS技術」分野の進歩と発展における中心的な役割を担います。
1.PSLX(APSデータ記述言語)の標準規約策定
2.製造業のグランドデザインとビジネスモデルの検討および提案
3.共通仕様・規約にもとづくツールやデモシステムの開発支援
4.ユーザー企業とベンダー企業間の中立的な情報交換の場の提供
5.スケジューリングおよびAPSに関する技術情報の提供
6.国内、海外の標準化団体との連携による策定仕様の宣伝普及
本コンソーシアムに参画することで、コンソーシアムの各メンバーには、それぞれの立場に応じて以下のようなメリットがあります。
IT関連企業にとって::パッケージベンダー、SI企業、そしてコンサルティング企業など、APSソリューションを提供する企業は、標準化によってシステム構築の工数と費用を削減し、より高品質の技術を提供することが可能となります。たとえば、標準仕様にそったソフトウェア部品の蓄積と再利用を効率的に行うことや、複数ベンダーがジョイント形式で行う大規模で複雑な開発案件においても、自社の得意技術を標準仕様に沿って容易に組み込むことができます。  
APSユーザ企業にとって::製造業のメンバーは、本コンソーシアムへ参加することで、インターネット環境における生産管理の今後の方向性を的確かつタイムリーに見定めることができます。そして何よりも、それぞれの企業がいままでに蓄積してきた生産管理に関する技術やノウハウを、自らの手で主体的にITというツールを使って具現化し、日本的な生産の強みを生かした次世代の生産管理方式へと移行させていくことが可能となります。  
大学等研究機関にとって::従来の生産スケジューリングに関する研究は、理論的または数学的であった反面、実際の問題からすれば極めて限定的なものでした。標準化により、大学等の研究者は、対象とすべき現実の問題が明らかになり、今まで扱う機会の少なかった大規模で複雑な問題に対する理論的、応用的研究を行うことができます。また、標準化という学術的にも大変重要な作業に参画することで、産業界へ対して大きく貢献することができます。  
わが国は、ことばのハンデキャップもあり、国際的に通用する標準づくりはあまり得意でないと言われてきました。しかし、経済のグローバル化が進む中、これからの時代は、我々の得意とする分野ではどんどん標準を提案していかなければ、現在の国際競争力を維持することも難しくなるでしょう。JITや製番管理方式に代表されるように、わが国の生産管理のしくみは最先端です。生産スケジューリング技術を中心とした生産管理技術をAPSのフレームの中で再度定義しなおし、インターネット技術を前提とした日本発のグローバルスタンダードを自ら作成するためにも、本コンソーシアムの活動は極めて意義のあるものであると考えています。
本コンソーシアムの趣意に賛同したより多くのメンバーの参加を、発起人一同、心よりお待ちしております。
平成13年7月 設立発起人代表
法政大学工学部 西岡靖之
安藤成之(NECネクサソリュージョンズ取締役)
井上一郎(京都産業大学教授)
上野信行(広島県立大学教授)
宇野毅明(国立情報学研究所助教授)
梅田茂樹(武蔵大学教授)
奥村直正(イーマニファクチャリング株式会社代表取締役)
金光信幸(株式会社リード・レックス取締役)
木瀬洋(京都工芸繊維大学教授)
草刈君子(アイログ株式会社シニアコンサルタント)
黒田充(青山学院大学教授)
玄光男(足利工業大学教授)
古賀敏生(株式会社ロジックスジャパン代表取締役)
小島浩(新日鉄ソリューションズ株式会社)
児玉公信(株式会社エヌ・ケー・エクサ技術部リーダー)
佐藤知一(日揮株式会社)
関口恭毅(北海道大学経済学部教授)
高橋邦芳(アスプローバ株式会社代表取締役)
手島歩三(ビジネス情報システム・アーキテクト代表取締役)
中野一夫(構造計画研究所取締役)
中津陽一(応用技術株式会社SI事業部副事業部長)
中村実(日本アイ・ビー・エム株式会社)
西岡靖之(法政大学工学部助教授)
福岡博重(フューチャーナレッジコンサルティング株式会社代表取締役)
藤川博巳(プロセスチェーン研究所代表)
藤本英雄(名古屋工業大学教授)
冬木正彦(関西大学工学部管理工学科教授)
降旗勝夫(システムプラザ株式会社)
水野貴司(株式会社シムトップス統括マネージャー)
南口雅也(エムツーエム インコーポレーテッド代表取締役)
宮崎知明(富士通株式会社)
宮下和雄(産業技術総合研究所)
毛利峻治(日立製作所生産技術研究所)
守屋昭一郎(ジェイティ エンジニアリング株式会社取締役SI事業部長)
安田一彦(東北大学教授)
山崎 雅史(株式会社アイザック)
山田太郎(ネクステック株式会社代表取締役)
吉川英二(株式会社住友金属システムソリューションズ)
渡辺哲弥(東洋エンジニアリング株式会社)

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